ROAD TO 名港、死のバージンロード

知的障害者の男の子に案内されて降りたのは日比野の街だった。そして僕らは名古屋港を目指して歩きだした。いつものことながら、何故かは分からない。

道路沿いを歩く。倉庫、廃スナック、商店が一つもない「新世界商店街」、荒みきった港区人外魔境。そして養護学校やら盲人施設やら、やたらと「福祉」施設が目につく。人外魔境には福祉がお似合い。底辺相手の底辺産業。底辺の底辺による底辺の為の福祉。こりゃあてぇへんだ!って騒ぐほどの元気も無く、手をじっと見る。

地域再生センターという看板のかかった事務所風のビルがあった。何をやっているのかと思い、ドアに貼ってあるチラシを読む。

「てんぷら油大募集!20回持ってきてくれた人には授産所で作った石鹸をプレゼント!」

犬小屋発豚小屋行きという言葉が頭をよぎる。

名港に着き、人もまばらな観覧車にのった。見下ろすのはワゴンとワゴンRだらけの駐車場、そしてイタリア村と名付けられた商業施設。そういえば同僚が来月イタリア村で結婚式を挙げるらしい。魔境のオアシスイタリア村。底辺ワーカーのお前等(僕だ!)にはお似合いだぜ!